ⅰ NPOの基礎知識 その1:基本の「き」
ⅰ NPOの基礎知識 その1:基本の「き」
- 1.NPOってなんですか?
- NPOは、英語のNon-Profit OrganizationまたはNot for Profit Organizationの略語です。
プロフィットは「利益」、オーガニゼーションは「組織」ですから、非営利の組織、利益を目的としない組織という意味になります。
日本では「非営利組織」または「民間非営利組織」と訳される場合が多いようです。
営利を目的とする企業との違いを強調した表現だということができます。
ただ非営利といっても組織の目的は明らかではありません。
NPOの目的は、さまざまな社会的サービスを提供することにあります。したがって、NPOとはさまざまな社会的サービスを提供する営利を目的としない民間の組織です。
- 2.NPOってどんな組織なの?
- NPOにはいくつかの共通した性格がみられます。
①誰がメンバーなのかがはっきりしており、定款や規約、ときには法人格をもつなど、制度的な実体を備えた組織であること。
②政府=行政から独立した民間の組織であること。
③利益をメンバー間で分配しないこと。事業収入は事業の拡大にのみ再投資し、会員には配分しません。これが「非営利」ということの意味です。
NPOの提供するサービスがすべて無料だという意味ではありません。
④他の組織に支配されず、独立して組織を統治する自律性をもつこと。
⑤参加は個人の自由意思に委ねられ、労力(時間)やお金を自発的に提供する自発性をもつこと。
これら5つの特徴はNPOの要件でもあり、これらのうちもしひとつでも欠けていたならば、それをNPOと呼ぶことはできません。
- 3.NGOやボランティアとはどう違うの?
- NGOは、Non-Governmental Organizationの略語であり、「非政府組織」と訳されます。
政府=行政との違いを強調した表現です。
組織の目的や特徴は共通ですので、NGOとNPOの違いは、非営利か非政府とかいう強調点の違いだということができます。
ただ、日本では、国連の会議などで正式の参加国ではない民間の組織としてNGOが注目された経緯があり、国際協力や環境・医療などの分野で国境を越えて活動する団体を指して使われることが多いようです。
一方、ボランティアは、個人が自発的な意思によって行う、労働の対価を求めない社会的サービス提供の行為です。
自由意思による社会的サービスの提供を、ボランティアは「個人」、NPOは「組織」の視点と立場から表現したものということができます。
- 4.NPOの数と活動分野は?
- 一口にNPOといっても、定義上、自らNPOと名乗る団体に限らず、ボランティア・グループ、市民活動団体から法人格を取得したNPO法人まで広範かつ多様な組織を含んでいます。
その多くが任意団体であり、全体像を捉えることは不可能といえます。
最近の動向は以下を参照して下さい。
■内閣府NPOホームページ
「認証・認定数の遷移」
https://www.npo-homepage.go.jp/about/toukei-info/ninshou-seni
「認証数(活動分野別)」
https://www.npo-homepage.go.jp/about/toukei-info/ninshou-bunyabetsu - 5.NPOの社会的意義はどこにあるの?
- NPOは、現代の日本社会において、営利を目的とする企業や法にもとづく公平性を原則とする行政にはけっして果たせない独自の社会的役割を担っています。
①その取り組みが先駆性ないし冒険性をもつこと。在日外国人、DV(ドメスティック・バイオレンス)、幼児虐待などの新しい社会問題に「とにかくやってみよう」と
パイオニア的に取り組むことができます。行政が対応できるのは、法や条例ができてからのことです。
②その活動が多様性ないし多元性をもつこと。
不登校や高齢者給食サービスなど、一律・公平にこだわらず、少数者のニーズや価値観にきめこまかに対応することができます。
③そのサービスが人間性ないし精神性をもちうること。
行政では不可避の結果責任を恐れずに、いのちの電話など深い人間性にもとづくサービスを提供することができます。
④市民オンブズマンによる行政・企業のモニタリング(監視)やアドボカシー(政策提言)など、社会変革のための批判性ないし提言性をもった活動を
展開できることなどがその役割であり、また現代的な意義でもあるといえます。
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