経営理念は「さをり織りは、キズも模様、ムラも芸術、好きに好きに織ること。１人１人の個性をぶつけて差異を織れば良いこと。織りを通して自己実現を図ること」です。
設立のきっかけは、理事長の飯塚さんが、障がいをもつ息子さんの将来のために何かできることはないか思い悩んでいた時。友人からの誘いでさをり織りの現場を目にしたことだったそうです。「私はどこかで、諦めていたのですよ。ダンボールを折ることや色々なことをさせても何もできない息子に…。でもね、さをり織りを目にした息子の目が輝いて、やろうとする意欲がその時見えたのですよ。それからです。このアトリエを開いて少しずつ仲間が増えてきて…。彼らは、一見何もできないように見えるかもしれない。私たちは感性をこそぎおとしながら、普通の人になってきた。でも、こそぎおとすことのできない人たちは生まれながらの感性をたっぷり抱え て生きている天才なのですよ」と語ってくださいました。

ここでは、障がいをもつ施設の利用者はクリエイターと呼ばれ、アトリエの中は色であふれ、誰もがただ一心にその作品と向かい合うひたむきさとあたたかさが感じられます。歌や楽器を使って音楽を楽しむ時間もあり、この練習の成果はイベント等で披露されています。
2021年4月に建物を新設し、それに伴い重度の障がい者を受け入れ、生活介護も始めました。高さや大きさの違う窓が不規則に配置されている特徴のある建物からは、華やかなさをり織りの布がのぞいています。1階にはクリエイターの作品を購入できるショップと、こだわりのコーヒーを楽しめるカフェが併設されています。
所長の斎藤さんは「建物ができて、ここは何をしているところだろう？と、近所の方が立ち寄ってくださることが多くなりました。『障がい者が作ったものだから協力する』ではなく、作品を気に入って購入していただけることを目指しています。そして、地域に溶け込む施設でありたいと感じています」と語ってくださいました。

◆2021年8月2日発行ニュースレターより◆